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八日目の蝉 角田光代

珍しくバタバタと予定の詰まった1週間で、今日が唯一の休息日。しかも、5月の雨。
夕方までは意地でも出かけないつもりで、スッピン&ジャージでお届けしております。



昨日は小学校の、図書ボランティアの日。

1年生が、図書室の使い方を教わるオリエンテーリングに来た。
司書の先生が図書室の使い方を説明したあと、
今日は練習、ってことで1人かならず1冊借りていった。

普段、本を読み慣れてる子ばかりじゃないだろうに、1冊は借りてね、と言われて
「マンガないの?」だの「ポケモンは?」だの言ってくる子もいたけれど、
気に入った1冊を大切そうに胸に抱えて貸出に並ぶ子供たちのちょっと緊張した顔と紅潮したほほが
とってもかわいかったのさ。

本って、楽しいよね。



さて、そんな私が読んでた本はこちら。

八日目の蝉八日目の蝉
(2007/03)
角田 光代

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逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか…理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった--心ゆさぶるラストまで息をもつがせぬ傑作長編。中央公論文芸賞受賞。





これ、私がよく行く読書ブログでも、すごく評判よくて、読みたいと思い続けて数か月、
先日あんまり流行ってない図書館で見つけて即お持ち帰りした。
タイトルがいい。
蝉って、1週間=7日の命だって小学生でも知ってる事実を逆手にとった
思わず手に取りたくなるタイトル。
私はブログのタイトルを始めとして、タイトルというもんをつけるのが苦手なので
タイトルつけが上手な人に憧れてしまう。


野々宮希和子は、不倫していた男夫婦の子供を誘拐し、逃亡生活を送る。
第1章は、希和子の視点から描かれ、第2章は、誘拐された子供、恵里菜の視点から
描かれる。

この、不倫していた男というのが、優柔不断でどーーしようもないダメ男。
一度希和子は男の子供を妊娠したのだが、男に促され、堕胎してしまう。
堕胎した子供の出産予定日の数か月後に、男の妻が出産した子供が恵里菜。
希和子は、毎朝、この夫婦が最寄駅まで赤ちゃんを残して20分ほど、家に鍵をかけぬまま
出かけることを知っていて、恵里菜の眠る家に忍び入るのである。

これがなければ物語が進んでいかない、しょっぱなの一番重要なところなんだけど
設定が20年くらい前の話とはいえ、毎朝20分も家を開けて、
自家用車ででかけなければいけないのに鍵もかけず赤ん坊を家に置いていくってことが
本当に行われるんだろうか。
ゴミ捨てくらいならありそうだけど、車で出かけるんなら鍵くらいかけていきそうなんだけど。

と、まあ、リアルな話なだけに、いろいろと細かい部分をツッコミつつ読み進めてしまったけれど、

面白かった。

夢中でページをめくっていました。
ページをめくらせる引力は強烈だった。
読み進めながら頭の中で映像化していた。それだけ描写がしっかりしてるんだと思う。

心理描写が細かいので手に取るように伝わってくる。
女性ならではの心情、細かな感覚がリアル。
リアルに伝わりすぎて、途中まで共感してるのに、これは違うよ、
私はこうは思わない、と突き放されたりして。

赤ん坊を盗んで、必死に逃げながら育て続ける希和子。
母子手帳もないし保険証もない、予防接種も受けられないし小学校だって入れない
ぜったいこんな生活続くわけない、と思いながらも、
いつしか希和子とともにハラハラしたりほっとしたりしている。

赤ちゃんの恵里菜を初めて抱っこした描写で

「つぶれそうにやわらかいのに、何か、決してつぶれないごつりとしたしたたかさがあった。」

というのが2ページ目くらいに出てくるんだけど、
赤ちゃんというものの存在を端的に表してて秀逸。
そう、小さくてやわらかくてかわいいだけじゃない、赤ちゃんって
生き物としての、ものすごく強い生命力を感じるのです。


子供を盗むなんて、他のどんなものを盗むより罪深いことだと思った。
許せない。
ダメ男への愛が赤ん坊の誘拐という形をとったとするならば、
それは愛ではなく、ただの執着だと思うので、共感はできないのだけれど
抱っこしたら母性がわわっと湧いてきて、手放せなくなって誘拐してしまったというならば、
そこらへんは分かる気はしてしまう。許せないことなのに、共感させられる、
それがこの小説の怖いところ。

それにしても、
子供を育てるのってなんて怖い作業なんだろう、と改めて思ってしまった。

大人があまり深く考えず、ふっと口にした言葉が、子供のこころに思わぬ形でささって
ずうっと長い間取れないトゲになったり、
影を落としたり、トラウマになったりということは往々にしてある。

私はけっしてお世辞にもいい母親とは言えなくて、日々反省ばかり。
一日の終わりに、明日はぜったい怒鳴らないでおこう、と固く決意しても、
翌朝、のっけから怒鳴っている。
決して、子供たちにとって納得のいく叱られ方ばかりではないだろう。
子供たちの心にも、澱のようなものが底にたまっているのかもしれない。

人間としての考え方の基礎を、私ごときが教えなくてはいけないとう恐怖。
そんなものを教えるつもりはなくても、子供はその真っ白な心をスポンジのようにしてありのままを
吸収していく、周りの大人から。おもに母親から。



いろんな人物が出てくるんだけど、彼らに対してもう少し知りたかった。
そして個人的には、もう一歩内につっこんだ”なにか”が見たかったな、という思いはあるにせよ、
ストーリーテラーとしての角田氏の実力を見せつけられる一冊でした。

映画で観たいな、と思った。映画だともしかしてラストが変わっちゃうかな。
ラストはこのままで、映画で観たい。

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*Comment

反省。 

母というモノになって20年を過ぎている私も
毎日、くだらないことで怒っては反省を繰り返してますよ。
なんでこう学習しないのかと自分で自分が嫌になります。

この本、というか小説、我が家で購読している新聞に連載していたんだけど
読み始めたら面白くて毎朝、新聞が配達されるのを待っていたのを思いだしました。
こんどは一気読みしてみようかな。
  • posted by みちママ 
  • URL 
  • 2009.05/28 09:35分 
  • [Edit]

みちママさん 

みちママさんもそうですか?
子供はほったらかしていい加減に育ててもなんとかなるもんじゃないし
これでいいのだ、ってな正解がない作業だし、
母親って片手間ではできないし、でも毎日穏やかにやってられないし。
穏やかに上手に子供を諭してるお母さんとかを見ると本当に尊敬してしまいます。

そうか、新聞小説だったんですね。
だから物語を読み進ませる力が強かったんですね。
とぎれとぎれの新聞小説は読んだためしがありません、記憶力が続かなくて(爆)
  • posted by ゆう 
  • URL 
  • 2009.05/28 10:01分 
  • [Edit]

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