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ヘヴン(加筆しました)

昨日書いた記事だけど、あれからこの小説のことをじめっと考えてしまう一日を過ごして、
ああそうか、と思ったこと加筆します。
どっちでもえーわい、と思うかもだけど、まあ、自分用メモってことで。(読んだ本をメモしておくとけっこう役に立つのです・・・内容すぐ忘れちゃうから!)

ヘヴンヘヴン
(2009/09/02)
川上 未映子

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中学2年生のいじめられっこの男女の話。
同じクラスに男子の”僕”と、女子の”コジマ”がひとりずつ日常的にいじめられていて、そのうち二人はひそかに文通することになり、心を通わせていくのだけれど・・・。



ちょっと前に話題になってた作品。
いじめが題材でちょっと重くて、ヤバイ作品だってのは聞いてた。
彼女の作品は、芥川賞をとった”乳と卵”の単行本に載ってたもうひとつの小作品がすごく好きで
興味はあったんだけど、パワーがあるときに読まないと寄り切られちゃう気がして気持ち的に敬遠してた。
人気が落ち着いてきたのか、図書館で偶然見つけて思わず借りてしまった。
自分にパワーがあるか分からないままに読み始めたら、この人の作品にしてはすごく読みやすくてすいすい読める。
あら、もしかしたらビビることないかも、と読み進めたら・・・・・


読みやすさと内容の軽さは一致しない。当たり前か。
やっぱり甘くなかった。
ずずんと胸の奥に小さいけれど重たい石が引っかかってる感じ。


中学生のいじめの話。
でも、もしかしたら作者はいじめとはどういうことか、みたいなことを書きたくて書いたんじゃないんじゃないかと思った。
いじめっていうのは人間の善悪とかの基準の単なる象徴としての題材で、
もっともっと、万人に通じる人間の、奥深いものを書いてるんじゃないかなあと。

いじめの中身は、こないだ読んだ重松清の”ナイフ”のほうがもっとえげつなかったりした。
いじめる側の精神分析とか、してるわけじゃない。教師も出てこない。
ただ淡々と、状況を描いている。

印象的だったのが、いじめられる側の”コジマ”がどんどん宗教的になっていく様。
いじめられることに戸惑い、嘆き、そこで繋がっていた二人だけど、全てに意味がある、いじめる側がいつか全て分かる時がくる、ということに思いをはせ、信じ、すがって強くなろうとしていくコジマは、同じ思いを”僕”に求め、そのことで距離が少しずつ離れていってしまう。

話の中盤にある、いじめる側の人間、百瀬のことば。

自分が思うことと世界のあいだにはそもそも関係がないんだよ。
それぞれの価値観のなかにお互い出ひきずりこみあって、それぞれがそれぞれで完結してるだけなんだよ。

僕も、君も、自分の都合に従って世界を解釈してるだけなんだって。その組みあわせでしかないんだって。



これ、本能的に否定したくなるんだけど、なに屁理屈言ってんだよって一笑に伏したくなるんだけど、それができない。笑えない。
すごくさびしい考え方ではあるけれど、真理なのかもしれない。
究極には、誰も分かりあえない、みたいなこと。
分かりあえてるフリしてるだけなんじゃないか、みたいなこと。
誰もが本当は少しずつ、実感してるだろうこと。

・・・と昨日は書いたんだけど、”真理”じゃなくて、”状況”なんだな、と思った。
百瀬に「おれは状況を言ってるんだ」って言わせてるのにね。
だれもが、やっていいこと、やってはいけないこと、ではなくて、できること、できないこと、があって
それは趣味みたいなもんで、そこには正しいとか正しくないとかじゃなくてただ欲求があるだけなんだって。

その欲求を抑えるのが本来善悪とかモラルとか言われるものなんだろうけれど。
あー、怖いね。これはただ、人間の心理の”状況”を実況してるものだから、怖い。


それともうひとつ気付いたこと。
コジマが、”僕”のことを「仲間」と呼ぶんですよ。
でも、コジマと別れる寸前に”僕”は気づく。コジマは僕にとって唯一の友達だったということ。
自分と同化して、同じ苦しみを分かち合いたかったコジマと、
自分とは違う存在として、それぞれを認め合い、助け合いたかった”友達”との決定的な違い。
重ならない思い。この小説の本質なのかな。


これね、設定が現代じゃないんですよ。
ちょっと昔。1991年の話。
ネットも携帯もなくて、人が安易につながりにくかった時代。
現代という設定にしなかったのは、現在の日本の空気、みたいなのを書きたかったわけじゃないのかな、って・・・。

あれはどうなったのかなーという疑問とか尻切れトンボみたいなとことか、あったけれど、
ラストがすごく美しい。うん、ただ美しい。

まあ、でもいろいろ言わないことにします。
この小説は、それぞれが読んで、それぞれの胸の中でさまざまな形にふくらませていけばそれでいいような気がする。
どんな感想を書こうとも、それは私の価値観に引きずり込むことでしかないもんね。


読んで良かったです。
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